藤の森6「比喩」

 冬から一変してすっかり森が緑に覆われるようになりました。所々に赤白黄色、青やピンクの花々が一面の緑の中に映えています。

 森の周辺、学校と森の間にキノコを見つけました。

 私はこの不思議な形のキノコを見て、まず第一に思ったのは「このキノコは毒キノコかな?」ということです。どういうわけかキノコを見ると「毒はあるのかな?」「食べられるのかな?」ということを考えてしまいますね。友人にこのキノコの写真を見せても聞かれるのは毒はあるのか、ということでした。

 私はこのキノコを調べるにあたって、手元に図鑑がなかったのでgoogleで検索をすることにしました。しかし、見たものを調べるということは検索をする言葉がない、ということだったのです。私はとりあえず「脳みそみたいなキノコ」という言葉で画像検索をしてみました。するといくつかのキノコの写真が表示され、その一つに私が森で見つけたこのキノコがありました。そうしてこのキノコが「アミガサタケ」という毒のないキノコであるということにたどり着きました。

 私がこのキノコについて調べるにあたって一番驚いたのは「脳みそみたいなキノコ」という検索ワードで自分の調べたい事柄が調べられたことです。自分がなんとなく似ていると思ったものを、他の誰かも同じように感じている。比喩というものが、語彙を超えて他人と他人を結びつけるものである、ということを実感する出来事でした。